TPP交渉への参加方針に抗議し,撤回を求める意見書
意見書第4号
議決日:平成23年12月16日
議決結果:原案可決
野田首相は,先に開かれたAPEC首脳会合の際に「TPPへの参加に向けて関係各国との協議に入る」との方針を表明しました。そして,アメリカ政府は,日米首脳会談で首相が「全ての物品やサービスを貿易自由化交渉のテーブルにのせる」と表明したことを発表しています。
これをめぐって,首相の発言は「TPP参加が前提でない」などと釈明しています。しかし,こういう言い訳は,国民や民主党内のTPPに反対ないしは慎重な対応を求める勢力への「配慮」ではあっても,国際的には通用するものではありません。
ロイター通信は,「野田首相は,金曜日(11月11日),日本が米国主導の貿易協定(TPP)への協議に参加する意思がある旨,明らかにした」と報道しています。首相の全ての物品やサービスを自由化交渉の対象にするか否かの発言をめぐって,アメリカ政府の発表を否定しながら,訂正さえ要求していません。さらには,APEC首脳会合から帰国後の記者会見で首相は,「昨年11月に政府が決めた『包括的経済連携基本方針』に基づいて進める」としていますが,「包括的経済連携に関する基本方針」(2010.11.6)では,「政治的・経済的に重要で,我が国に特に大きな利益をもたらすEPAや広域経済連携については,センシティブ品目について配慮を行いつつ,すべての品目を自由化交渉対象とし,交渉を通じて,高いレベルの経済連携を目指す」と明記しています。そして,何よりも日米首脳会談では,日本がTPPに参加するために必要なアメリカ議会の承認に向けた二国間の「事前協議」を行うことで一致しています。
このように,今回のTPPに対する方針は,明確にTPP交渉参加を前提にしたものであって,TPPへの参加に反対する多くの国民や,これまでに議決されている44道府県議会,市町村議会の8割を超える反対ないし慎重な対応を求める意思を踏みにじるものであり,断じて許されるものではありません。
これまでの議論を通じて,TPPは農業などの第1次産業への壊滅的な影響にとどまらず,医療など国民生活の根幹に影響が及ぶ懸念が広く指摘されていますが,政府の説明は「国益を守る」などと抽象的な説明にとどまっています。国益に重大な影響をもたらす
TPPについて,国民的コンセンサスもなく,多くの反対世論を無視して参加を強行することは許されるものではありません。
よって,下記のとおり対応することを強く望むものであります。
記
「TPPへの参加に向けて関係各国との協議に入る」とした方針を撤回し,国民的議論もないままのTPP参加に向けた協議は中止すること。
以上,地方自治法第99条の規定により提出します。
平成23年12月16日
つくば市議会
(提出先)
内閣総理大臣 様
農林水産大臣 様
経済産業大臣 様