常陸川水門(逆水門)の柔軟運用を求める意見書
意見書第11号
議決日:平成22年12月22日
議決結果:原案可決
霞ケ浦の自然を回復し、特に水質浄化と漁業活性化を実現することは、すべての人が望んでいることです。
そして、逆水門の柔軟運用が、それらの実現にきわめて効果的で、しかもほとんどコストがかからないという、まさに有効な方法として存在しています。
霞ケ浦の水質浄化には、湖の富栄養化の原因となる窒素やリンの除去が大きな課題となります。逆水門の柔軟運用(湖と海との間の生物移動を可能にする管理)によって湖の水産資源の回復を図り、上記のように漁業を活性化させることで、漁獲をとおして魚体に含まれる窒素やリンを湖から除去することが可能となります。環境団体の推計によれば、逆水門の柔軟運用による水質浄化効果については、漁獲増にともない年間窒素を約255トン、リンを約51トン湖から除去することができると予測しています。
湖から窒素やリンを除去する目的で国交省が実施している底泥浚渫は、漁獲より除去効率が低い上に、取り出したヘドロの処理に大きな費用がかかり、その効果は専門家からも疑問視されています。また、すでに1,500億円もの巨費を投じて進められてきた導水事業も、取水基である那珂川の水に含まれる窒素やリンが、これまで以上に霞ケ浦でのアオコなどの植物プランクトンを増殖させる恐れがあり、結果として霞ケ浦の水質をさらに悪化させるという研究結果が発表されています。
漁業活性化に関しては、大手シンクタンクは2004年、逆水門の柔軟運用による地域経済効果を予測し、年間193億円の漁業利益増を見込む試算結果を発表しています。その後、この提案は単に湖の水質浄化や生態系への効果のみならず、地域の活性化にもつながるものとして高く評価されることになりました(長期的には年間308億円の漁業利益増を見込んでいます)。
例えば、霞ケ浦を天然ウナギの産地として再生し、湖のブランド価値を高めたり、観光を振興、雇用創出などという付加価値も生まれます。特に、かつて国内最大のウナギ産地であった霞ケ浦・北浦を、再びウナギ産地として復活させることは、大きなインパクトを与えると考えます。世界的に資源量の減少が問題化し希少価値が高まっているウナギ(とくに、天然ウナギ)は、高値で取引されており、地域経済の活性化に寄与することは確実です。
また、逆水門の柔軟運用と併せて植生帯の復元が進めば、湖の生態系や水産資源の回復が確実に進むと確信します。それは同時に、湖の自淨力を高めることにもつながります。
以上の主旨から、地方自治法第99条に基づいて、逆水門の柔軟運用を求める意見書を提出します。
平成22年12月22日
つくば市議会
(提出先)
内閣総理大臣 様
国土交通大臣 様
農林水産大臣 様
茨城県知事 様