平成20年 3月定例会
平成20年3月7日 (会派代表質問)
宮本次郎 (民主党・つくば21)
1.市政運営の基本方針(P1)
2.予算の基本方針(P2)
3.主要施策について(P3〜)
1.市政運営の基本方針(P1)
一言で言えば“「つくばスタイル」をまちづくりに生かし、地域間競争に勝ちぬくこと”と理解するが、抽象的でわかりにくい。
「つくばスタイル」の内容と、地域間競争に勝ち抜くための具体策を説明いただきたい。
(「P6「自律のまちづくり」でも繰り返し述べられている)
2.予算の基本方針(P2)
市長は昨年度の所信表明で、5つの方針の第一番目として「中長期的な視野にたって市政運営を行うこと」「そのために、5年から10年のスパンの戦略を構築する必要がある」と述べて、そのための情報収集に努力すると表明した。どのような情報をもとに、どのような戦略を立案したか。
財政計画、事業計画の重点に沿って説明されたい。
(1)財政計画
*昨年12月に総務省が発表した財政健全化指標について、06年度決算、07年度決算予測および将来的な見通しなどに照らして、つくば市の財政運営上どのように評価するか。
*連結実質赤字比率
*実質公債費比率(資料によれば15.8%)
*将来負担比率
(2)付属資料の「つくば市中期財政見通し」(h21〜25)を拝見したが、推計とそうでないものが、乱雑に詰め込まれているので、なにを基準に財政運営を行うのか、わかりにくい。
一方で福祉の充実やTX関連投資の必要性を強調しながら、「社会保障関係費の増大やTX沿線開発等に伴う多大な負担があり、厳しい財政運営が予測される」としている。(P6)
ならば、必ず歳出で予定しなければならないもの(市債の元利償還、資産の補修・更新──学校はじめ公共施設の耐震診断、補強、公団の立替え償還、退職金引当や人件費、その他の経常的、義務的経費で削減不能なものなど、かなり明確なもの)を基礎にして、その他の変動値の幅に応じた投資計画を示すべきではないか。
事業計画の重点とその理念もこうした枠組みの中で示すべきだと考えるがいかがか。
(3)総合計画の後期基本計画(h22〜h26)の策定事業に本年度より取り組むとしているが、「中期財政見通し」(h21〜h25)の主な普通建設事業予定費に、つくば・茎崎合併建設計画の予定事業、特に新庁舎建設以外の茎崎地域部分の事業について言及されていないのはなぜか。
(4)決算資料に比べ、予算資料はまだまだわかりにくい。
ニセコ町はじめ、かなりの自治体で予算の編成過程まで公開しながら行政運営しようとしている。
こうした基本的な情報の公開と共有、政策、形成過程からの市民の責任ある参画は、P6の「自律のまちづくり」で言及している市民協働参画や自治基本条例のそれこそ基本となる要件ではないかと考える。
*予算編成過程への住民参加についてどのように考えるか。
(5)また、道路や排水、下水道事業など、個所づけが決まっている事業について、これまで私は毎年マップ資料を要求してきたが、今年も付属資料に入っていない。
こうした基本資料の共有は、議会でも市民協働を推進する上で基本ではないか。
議案質疑までに用意するよう指示願いたい。
3.主要施策について(P3〜)
細かい数値資料の必要な弁論は一般質問や議案審議に譲るとして、なるべく政策方針に関連することを中心に質問する。
(1)昨年の主要施策と異なるところもあれば、重複するところもある。
しかし、重要施策を公表する場合、昨年度の実績や反省を踏まえ、今年はこうすると表明するのが常識ではないか。
まず、昨年度の施策の自己評価と、今年度への発展あるいは見直しについて説明を新たにしていただきたい。
(2)重要施策については、市長が選挙公約で訴えた施策についても、4年間の任期の最終年にあたって、どう評価し、今後どのように実現するのか表明しないままに放置するのは、無責任のそしりを免れない。
公約を踏まえて、本年度の施策を説明いただきたい。
(3)環境に配慮したまちづくり
*市の環境モデル都市推進案を読んでも、大ぶろしきを広げて国の提案や補助なら何でも受けますよといった姿勢しか感じられない。風車プロジェクトの失敗はそこにあったのではないか。
大学の研究機関、産業界はそれぞれ実現可能性とニーズに応じてプロジェクトを絞り込むだろうが、市としてはいったい何をしたいのか、明確に示していただきたい。
*リサイクルプラザ基本計画についてここで何も言及されていないことは遺憾である。
(P2で施設建設としてふれているが。)
このことが象徴するように、同基本計画では「循環型社会の構築へ向け、リサイクル活動や環境教育の拠点となる」というプラザの当初の構想や、可燃ごみのリサイクルについて何の提案もない。
プラザ基本計画案を「環境モデル都市」の枠組みの中で再検討するつもりはないか。
(4)安全で安心なまちづくり
*市長が選挙公約文書で最も多用したキャッチフレーズは、「健康都市つくば」であった。
福祉タクシーの助成対象の拡充や人工透析者の利用助成拡充など、今年度の施策でも評価すべき施策は少なくないが、「健康都市」を内外にアピールするほどのめざましさ、シティセールスの目玉とまではいいにくい。
都道府県別の平均寿命(昨年12月の厚生労働省調査結果)を見ると、茨城県の男性は30位、女性は43位である。
また、がん患者の痛みを和らげる専門的な処置を担う「緩和ケア病床数」は、今後高齢化が加速する都市圏で特に不足が深刻化すると、日本政策投資銀行が2025年までの推計値を今年1月に発表している。
全国的に市民病院の運営が問題になっていようだが、つくば市も例外ではない。施政方針で市立病院への言及がないが、今述べたような調査結果を踏まえ、地域医療の充実を考えてはいかがか。他の自治体と共同して行うことも考えられる。
病気の不安、飢餓への不安を最小にすることは「安全・安心の基本」だと考える。
そのほかにも、高齢者を含む低所得者の医療費負担の減免の拡充、堺市で始めた国保料滞納者を救済し、病気になっても受診できない人をなくすようなセーフティネットの拡充なども検討してはいかがか。
(5)市民サービスの向上(P7)
*新庁舎建設に伴って、各地域の庁舎で現在行っている行政サービスをどうするのか、旧庁舎の跡地利用をどうするのかといったことは住民の関心事だが、まったく言及されていない。どのように考えているのか。
*市民生活部に「生涯学習課」を移行設置することの意義、どのような現行の不都合解消やどのような将来展望によって行うのか。
これに伴う社会教育、社会体育事業の職務分掌はどうなるか。
*「安全安心な学校給食」(P8)は給食センターの統廃合によって確保できるかどうか。
危険な冷凍食品の問題が、広く学校給食現場にまで及んでいる。原因と対策を考えながら、給食センター整備の方向性を基本から考え直すべきではないか。
(6)自律のまちづくり
*退職者OB人材の活用を具体的にどのようにするか。まず、データベースの整備が必要だと思うが現存する人材データベースにはどのようなものがあり、統合・公表などの利用環境はどうか。
*活用のフィールドが多様に用意されている必要があるが、公務でのワークシェアリングなどは考えているか。
(7)職員の意識改革(P8)
職員研修センターでの課題取り組み結果について、執行部はどのように評価して、現実化に努力しているか。
例えば、「カー・シェアリング」に関する17年度の政策課題研究研修提言集報告は環境都市へのモデル・プロジェクトとして一考に値すると考えるがいかがか。