令和7年定例会9月定例会議
令和7年9月12日 (一般質問)
川村直子 (つくば・市民ネットワーク)
・子どもや若者のからだ・心・性の悩みに寄り添う包括的性教育について
・つくば市におけるLGBTQに関する取組について
1 子どもや若者のからだ・心・性の悩みに寄り添う包括的性教育について
日本の公教育においては、子どもや若者が、多様かつ正確な「性」に関する知識とリテラシーを育む機会が十分ではありません。
月経、避妊、中絶、性行為、性的同意、性暴力の防止など、人生に直接関わる重要なテーマを正確に学ぶ機会が無く、インターネットを情報源としている人も少なくありません。不正確なネット情報の規制も緊急な課題ですが、大人の知識も不十分で、全世代が認識を新たにする必要があります。
国際的には2009年にユネスコがユニセフやWHOと共同で作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が性教育の指針となっています。科学的根拠、人権尊重、ジェンダー平等、性に対する肯定的なアプローチという基本理念のもと、幼少時から18歳になるまで、成長とともに段階的に学んでゆく一連のカリキュラムになっています。
日本でも近年、このガイダンスを基本とした「包括的性教育」が注目されています。2023年には日本弁護士連合会から国に対し、包括的性教育の実施を学習指導要領に盛り込むことと、包括的性教育と「性と生殖の健康に関する権利」を保障する包括的な法律の制定と制度の創設を求める内容の意見書が提出され、公教育へ導入する必要性が高まっています。
本年3月の会派代表質問では、教育局においても包括的性教育の必要性を認識していると確認しました。本年5月からは子どもや若者のための青のカフェが始まり、今後に期待を寄せているところです。
改めて、以下伺います。
(1) 文部科学省が推進する「いのちの安全教育」と、国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づく「包括的性教育」の、市における実施状況と課題について伺います。
(2) 青のカフェの事業内容、これまでの実施状況、現状における課題、今後の見通しについて伺います。
(3) 若者のみならず、大人にとっても重要な情報である緊急避妊薬に関して、現状と課題及び市民への情報提供について伺います。
2 つくば市におけるLGBTQに関する取組について
LGBTQ、性的マイノリティであることによる生きづらさは、周囲の無理解により、不登校や、出勤に支障を来したり、場合によっては自死の原因ともなる、深刻な側面を持っています。
2023年6月には「LGBT理解増進法」(正式名称:性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)が施行されました。第5条に「地方自治体は、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、国民の理解の増進に関する施策の策定及び実施の努力を行うよう」という旨、また第6条2項や第10条3項には「学校の設置者は、当該学校の児童生徒に対し、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等の役割がある」という旨が定められています。
市では2022年より4年間、この課題に関し、全ての市職員及び教職員の研修を実施してきました。迅速に取り組んでいただいたことに大変感謝し、評価をしています。しかしLGBTQに関する課題解決には、既成概念や無理解による同調圧力など、意識改革や社会全体の変容が必要で、知識を得たからといってすぐに解決につながるものでもありません。不断の努力と、全体化する継続した取組が必要です。
つくば市においてはこれまで4年間の研修等を基礎として、ここからどのような取組を行っていくのかが非常に大切であり、以下、伺います。
(1) これまでの市職員研修及び教職員研修の実施状況、研修から分かった現場の課題と、課題への対応状況について
研修2年目の2023年9月議会の答弁では、教育長から「今行っている研修の内容を生かし、子どもたちへの授業をしっかり行います。多様性を認め合い、お互いが尊重される学校づくりをすることが、そのような社会づくりにつながっていくことを、これからしっかり考えていかなければなりません。」という旨の答弁がありました。
研修はLGBTQに関する情報を集中的に得る機会となり、知識習得や理解促進へつながりました。同時に、研修受講により浮かび上がってきた現場の課題があると思います。研修受講から分かった現場の課題と、課題への対応状況について伺います。
(2) 教育局において行われたアンケート形式の調査研究2種について
教育局では、研修前後において学校や教員へのアンケート調査も実施されています。その調査の内容、調査から分かった課題、課題への対応状況について、以下伺います。
ア 「性的指向と性自認の多様性に関する学校調査」(学校調査)
イ 「性的指向と性自認の多様性に関する教員アンケート つくば市の現状と全国平均の比較」(教員調査)